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2022/03/28

スライディングボード 家族の介護負担軽減へ

 100歳を超える人の自宅を訪問した時の話です。両膝の痛みで立ち上がる力がないため、ベッドから車いすへの移動は、家族2人で持ち上げて介助していました。そのため、2人とも腰を痛めていました。介護される人は立ち上がれないが、手の力を使ってお尻を浮かせることはできます。そこで、介護負担を減らすため「スライディングボード」を使った乗り移りの方法を提案しました。

 このボードは、滑りやすい素材でできており、ベッドと車いすの間を橋渡すように置き、その上に座り、お尻を滑らせて移動することができます。使ってみると、自分で乗り移ることができるようになり、家族の介護負担は大きく軽減されました。

 スライディングボードの使用には、自分でベッドの端に座れる▽車いすの肘掛けが跳ね上がる▽お尻を浮かせることができる―など、一定の条件を満たす必要があります。家族や本人がボードを使えるかどうか判断するのは難しいため、専門職の助言も必要です。

 スライディングボードを使った介助方法に関心のある方は、担当のケアマネジャーにご相談ください。

 (但馬長寿の郷 理学療法士) (令和4年3月12日  神戸新聞転載)