神戸新聞一覧

2021/02/08

認知症の症状悪化防止に ポジティブな一言

 認知症は記憶や判断、行動などの障害が主な症状で、初期であれば、さほど生活に支障はありません。しかし、進行すると症状が強くなり、本人の生活に支障が出るだけでなく、「話がかみ合わない」「言う通りに動いてくれない」など、思うように介護できないことが増え、介護者の負担は大きくなります。

 一方、認知症の人も「いつも怒られる」「無理やりにさせられる」と感じ、不安や怒りがさらに症状を悪化させます。

 認知症の初期の段階では、介護サービスを使って、お互いに適切な距離を保ち、穏やかに過ごすことが一番大切です。1日1回は「ありがとう」や「良かった」「助かる」などのポジティブな言葉を掛けるようにしてはどうでしょうか。

 認知症の人は、記憶は曖昧でも、怒られていることは分かるし、良い関わり方が症状の悪化を防ぐこともあると言われています。認知症が進み始めても「良かったね」や「ありがとう」の一言が症状を和らげる一助になるかもしれません。言葉を掛けた人の気持ちも変わると言われています。ぜひ一度お試しください。

 

 (但馬長寿の郷 理学療法士)

 (神戸新聞 令和3年1月23日転載)