2018/10/17
体力低下の予防 無理のない範囲で体動かそう
先日訪問した80歳代の男性は、数日前に転倒して腰を強打していました。すぐに整形外科を受診したところ、打撲だけで骨折はしていませんでしたが、痛みが残っていました。家族からの提案もあって、用心のために車いすを使うことにしました。
ところが、車いすを使ってわずか数日のうちに、足腰の筋力が低下し、自力で車いすから立ち上がることさえ難しくなってしまいました。このままでは歩けなくなり、家族の介助負担が増加する恐れがあります。
どんな時に痛みが増すのか尋ねると、常に痛みはあるが、横になっていても体を動かしていても、痛みの強さ自体は変わらないとのことでした。立てなくなるようなけがではなかったため、車いすの使用を中止し、歩行器を使って歩くよう提案しました。歩き始めた当初にあった痛みは徐々に治まり、5日くらいで以前のように歩行器なしで歩けるようになりました。
痛みを和らげるために、安静が必要な場合もあります。しかし高齢者の場合、たとえ数日でも体を動かさないと、体力の低下につながる恐れがあります。過度の安静にならないよう、医師とよく相談し、無理のない範囲で体を動かすことを心掛けましょう。
(但馬長寿の郷 理学療法士)
(神戸新聞 平成30年8月4日版転載)