神戸新聞一覧

2018/10/31

便利な福祉用具 まな板、包丁 家事を手助け

 3年前に脳梗塞を患い、右半身に軽いまひが残った70代女性のお話です。

 入浴や着替えなど、身の回りのことは自分でできますが、軽度とはいえ右手が不自由なため、調理ができなくなりました。これまでずっと台所に立っていたため、「主人に任せるのが申し訳ない」「もう一度調理したい」という強い思いを持っておられました。 そこで、片手でも調理しやすいまな板を紹介しました。まな板に野菜や鍋などを固定できる装置が付いていて、「切る」「まぜる」などの調理動作が片手でできます。実際に使ってみると「包丁を3年ぶりに持ち、ひとりで調理できた」と大変喜ばれていました。

 まな板のほかにも、軽い力でビンのふたを開閉できる道具、硬いものを切りやすいようにグリップの形を工夫した包丁など、さまざまな調理用具があります。それ以外にも、片手で洗濯物が干せ、引っ張らずにまとめて取り込める洗濯ばさみ付きハンガーなど、障害者の自立を支援する便利なグッズが数多くそろっています。

 これらを上手に活用することで、日常生活の動作に支障があっても、これまで通り、家庭での役割を担うことも可能になるでしょう。但馬長寿の郷にある「すこやかセンター」には、数多くの福祉用具を展示しています。ぜひ一度お越しください。

(但馬長寿の郷 作業療法士)

(神戸新聞 平成30年10月13日転載)